◆yamayama将棋の部屋
■7八飛のタイミング
ここで紹介している3・4・3戦法では、一度飛車を▲6八飛と振ってから、後に▲7八飛と振り戻します。
となると、気になるのは「どのタイミングで飛車を7八に振り戻すか」です。
対飛車先交換編でも書いたとおり、▲3八玉まで入れてからが自然ですが・・・
第一図
いつでも後手からの飛車先交換があるため、ここでは離れ駒を作らずに駒組みを進める▲7八飛を選択していました。
しかし、最近▲2八王と進めても大丈夫なのではないか?と思い始めています。
第一図より、▲2八王△8六歩▲同歩△同飛▲2二角成△同銀▲8八飛(第二図)
第二図
先手陣は、王の位置以外は対飛車先交換編と同じ布陣です。▲2八王の一手だけ多く指しています。
しかし、多く手を指せていれば良くなるとは限りません。戦いが起こった第二図では、▲2八王の一手が入ったために離れ駒が生じています。
王が戦場から一歩遠のいたことはプラスであるにしても、4九の要の金が浮いてしまっては強く戦えないわけです。
逆に言えば、局面を一旦収めて▲3八銀の一手を入れれば先手陣は見違えるほどしっかりします。
また、▲2八王の一手によって4七地点が無防備になった点も気になるところです。実はこれを咎める順があると思い、▲2八王型を断念していました。
第二図より、△8七歩▲9八飛△6五角(第三図)
第三図
△8七歩と押さえる手は紹介しましたが、ここで先手の不備を咎める△6五角が強烈な一手。
直接の狙いは△4七角成ですが、真の狙いは△8八歩成〜△8七角成の8筋突破です。
流石に△4七角成を許しては戦いきれません。王の近くに歩得しながら馬を作られてはかなりの損で、これを挽回するほどの好手は無さそうです。
そこで、美濃囲いを完成しつつ▲3八銀と守るのが第一感として浮かびますが・・・。
第三図より、▲3八銀△8八歩成▲同飛△8七角成▲7八金△8八馬▲同銀(第四図)
第四図
△8八歩成〜△8七角成と、狙い筋を発動して攻めかかります。対する▲8八同飛〜▲7八金はギリギリの受け。
▲7八金に△同馬なら、▲8六飛△7九馬▲8一飛成△7一金に▲8六龍とすれば、飛桂と金銀の交換でどうか、というところ。
本譜はあっさり△8八馬と食いちぎります。▲同銀と取り返した第四図では、先手が歩を一枚得しているとはいえ、飛車の打ち込みを見せられてやや指しにくそうに思えます。
うまい自陣角の使い方があれば、この変化も有望なのですが。
第四図の局面に自信が持てず、3八王まで寄ったところで▲7八飛を決めていました。
しかし、色々と局面を突っつきまわしているうちに一つの手順を発見しました。
第三図より、▲4八飛!△8八歩成▲同銀△8七角成▲同銀△同飛成▲7九金(第五図)
第五図
歩越しに睨まれている飛車を軽く逃がしつつ4七を守る▲4八飛が研究手です。
先ほどと同じ順で攻めかかりますが、今度は△8八歩成に▲同銀!と取る手が生まれるという仕組みです。
▲3八銀の形で▲8八同銀は、△9八角成と飛車を抜く手があります。
後手は△8七飛成と龍を作りましたが、冷静に▲7九金と受けた第五図は▲3八銀〜▲8八飛のぶつけや、
龍が反れたときの▲8三角打〜▲5六角成の狙いなどが残り、少なくとも「手に困らない」展開になりそうです。
さて、これで▲7八飛と保留し▲2八王と指す手が成立するとなれば、先手の飛車は長い間6八に居座ることが出来ます。
これは意外と大きく、居飛車は対石田流の駒組みである△6四歩・6三銀型に組みにくくなるのです。
下手に△6四歩と突けば、▲6六歩〜▲6五歩のアタリが強くなってしまうからです。
また、3・4・3戦法側としては立石流への移行を考慮に入れることもできます。
この▲7八飛と指すタイミングを少し遅くし、主砲の位置をコントロールできれば居飛車に対して大きな牽制が出来ます。
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